個人事業主に営業リストは使える?法人情報との違い
個人事業主への営業リストは、法人リストと同じ感覚で扱うことはできません。理由は明確で、法人そのものの情報は個人情報保護法の保護対象外である一方、個人事業主の情報は「生存する個人に関する情報」として同法の対象になり得るためです。同じBtoB営業でも、相手が法人か個人事業主かで法的な扱いの前提が変わります。本記事では、この違いの理由と実務上の線引き、安全な収集源を一般解説します。個別の判断は専門家にご相談ください。
新人営業個人事業主も法人も「事業をしている相手」という意味では同じだから、営業リストの扱いも同じで大丈夫だと思っていました…
アドバイザーそこは一度立ち止まった方がいいところです。法人と個人事業主では情報の帰属先がそもそも違うので、まず両者の違いを整理しましょう。
個人事業主と法人の違い
営業リストの観点で重要なのは「事業者の情報が誰に帰属するか」です。
| 観点 | 法人 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 事業主体 | 法人格(会社そのもの) | 個人 |
| 商号・所在地などの情報 | 法人そのものの情報 → 個人情報保護法の対象外 | 事業主個人を識別できれば「個人情報」になり得る |
| 法人番号 | 指定される(基本3情報が公表) | 指定されない |
| 公的な公開データ | 国税庁法人番号公表サイト等で公表 | 同等の網羅的な公開制度はない |
法人の場合、商号・本店所在地・代表電話などは法人そのものに関する情報であり、個人情報保護委員会も「法人その他の団体そのものに関する情報は個人情報に該当しない」と整理しています(出典: 個人情報保護委員会 ガイドラインQ&A)。
一方、個人事業主は事業主体が個人です。屋号が付いていても、「◯◯商店=氏名△△さんの事業」のように特定の個人を識別できる情報は個人情報に該当し得ます。事業用の住所や電話番号でも、それが個人を識別できる形でリスト化されれば、個人データとしての取り扱い(利用目的の特定・安全管理措置など)が求められ得ます。
新人営業個人事業主の情報は個人情報に当たり得るから注意が必要、というのは分かりました。でも具体的に何が変わってくるのか、まだピンときません。
アドバイザー利用目的の特定や安全管理措置など、いくつか前提が変わり得る点があります。順番に見ていきましょう。
個人情報保護法上の扱いで変わること
個人事業主の情報を含むリストを扱う場合、法人のみのリストとは次の点で前提が変わり得ます。
- 利用目的の特定・通知公表: 個人情報の取得には利用目的の特定が求められます。
- 安全管理措置: 個人データとしての管理(アクセス制限・漏えい防止など)が必要になり得ます。
- 第三者提供の制限: 個人データを第三者に渡す場合の同意ルールが関わります。
「うちはBtoBだから個人情報保護法は無関係」という整理は、相手に個人事業主が含まれる時点で成り立たなくなります。リストの母集団を法人に限定するか、個人事業主を含める場合は同法への対応を前提に設計するか、最初に決めておくのが実務的です。
新人営業前提が変わり得るのは分かりましたが、正直どこまで気をつければいいのか、実務でどう線引きすればいいのか不安になってきました…
アドバイザー大丈夫です。母集団を法人に限定するか、個人事業主を含めるなら出所を明確にするか、実務上の線引きの考え方を一緒に確認しましょう。
安全な収集源と実務上の線引き
- 法人に限定したリストは安全側: 全国の企業一覧は国税庁の法人番号データを基盤とした全国500万社(全国法人検索の集計)の法人情報データベースであり、法人番号が指定された法人が対象です。母集団を法人に限定する設計が最もシンプルにリスクを下げます。
- 個人事業主を含める場合は出所と目的を明確に: 本人が事業用として自ら公開している情報(店舗サイト・公的な許認可名簿など)を、公開の趣旨に沿った範囲で使うことが基本線です。出所不明の名簿の利用や購入は避けてください。
- 拒否意思の尊重と各法令への対応: メール営業のオプトイン規制(特定電子メール法)などのルールは、相手が個人事業主でも同様に適用されます(参考: 総務省)。
法人情報と個人情報の境界線の全体像は営業リスト作成は合法?個人情報保護法と法人情報の違いで詳しく解説しています。本記事は一般的な解説であり、個別事案の適法性は弁護士など専門家にご確認ください。
出典: 個人情報保護委員会 ガイドラインQ&A/e-Gov 個人情報の保護に関する法律/総務省 特定電子メール法/全国法人検索の集計(国税庁法人番号データ基盤) 更新日: 2026-06-04
よくある質問
個人事業主の情報を営業リストに入れるのは違法ですか?
直ちに違法ではありませんが、個人事業主の情報は個人情報に該当し得るため、利用目的の特定や安全管理措置など個人情報保護法上の対応が求められ得ます。法人のみのリストとは前提が異なる点に注意し、迷う場合は専門家にご相談ください。
法人の情報と個人事業主の情報は何が違うのですか?
法人そのものの情報(商号・所在地・代表電話など)は「個人に関する情報」ではないため個人情報保護法の対象外ですが、個人事業主は事業主体が個人のため、屋号付きでも個人を識別できる情報は個人情報になり得ます。
個人事業主を除いた法人だけのリストは作れますか?
はい。全国法人検索は国税庁の法人番号データを基盤とした法人情報のデータベース(全国500万社)のため、母集団を法人に限定したリスト作成ができます。リスクを下げたい場合は法人限定の設計が実務的です。
個人事業主に営業すること自体は問題ありませんか?
営業行為自体は可能です。ただしリストに含む情報の取り扱いに個人情報保護法が関わり得ることと、メールのオプトイン規制など手段ごとの法令は法人向けと同様に適用されることを前提に運用してください。
最終更新: 2026-06-04 / ListGoo 編集部
